このブログを始めたきっかけでもある老後2000万円問題について、復習も兼ねてまとめてみました。
本問題はもともと、2019年6月3日に金融審議会のワーキング・グループがまとめた高齢社会における資産形成・管理の報告書内で提起された「公的年金制度に頼った生活設計だけでは資金不足に陥る可能性」と、それによる「長期・分散型の資産運用の重要性」に端を発しています。
合計56ページもある報告書なので時間のある方は上記リンクよりじっくり読んで頂きたいのですが、報告書内の各項目の要約は以下の通りです。
短くまとめたにしてもまだ内容としては長いので、最後に番外編として筆者の4行まとめを記載しておきましたが、少し意訳が過ぎるところもあるかもしれませんのでそのあたりは自己責任でお読み下さい。
また、本記事を作成するために荒削りしたレポート内容についても別記事にて紹介しています。
Contents
志乃谷的金融庁レポートまとめ
<現状整理>セクションまとめ
様々な調査・研究の結果、以下のような現状があることがわかった。
- 平均的な日本人は働けなくなってから寿命まで平均で9~12年ある。
- 子無し夫婦、未婚・晩婚が増えているため少子高齢化が進んでいる。
- 働く世代の持ち家比率も低下してきている。
- 老後に認知症など判断力に問題を抱える人が増えてきている。
- 日本人の収入は減少傾向だが、少子高齢化により税・保険料の負担は増えていく。
- 年金制度を守るため、年金額は今後減る方向。
- 昔と比べ働く世代の支出は減ってきているが、高齢になると変わらない。
- 高齢夫婦無職世帯の平均で月あたり5万円の赤字となっている。
- 日本の高齢者は元気で、働いている人が多く意欲も高い。
- 若い人は昔のような会社員一辺倒ではなく、多様な働き方をしている。
- 会社員でないと退職金給付は不利。
- 退職金の平均自体も昔に比べ3~4割減った1700万円~2000万円。
- 退職金を投資に回そうと思っている人は多いが、あまり金額を把握していない。
- 65歳時点での保有資産平均:夫婦2252万円、独身男性1552万円、独身女性1506万円
- 毎月5万円の赤字で退職後30年生きたとすれば生活費のみで約2000万円の資産取崩しが必要。老人ホームや医療・介護費用、住宅リフォームなどは別途必要。
- 多くの人が老後の備えに不安を抱えているが、本人の資金・知識や業者のサポートの不足により実際に行動に移していない。
<基本的な視点及び考え方>セクションまとめ
現状を整理した結果、以下のようなこと視点で考える必要がある。
- 今現役であれば投資による資産形成を、リタイヤ前後であれば長く働いたり資産管理をすることが重要。
- 働き方が多様化しているため、個々人がそれぞれライフプランを考える必要がある。
- 老後の収入・支出の調整、資産形成と運営などを「見える化」すること。
- 判断力の低下は誰にでも起こりうるため、そうなった場合の備えもすること。
<考えられる対応>セクションまとめ
視点と考え方を整理した結果、以下のような対応を行う必要がある。
個人側の対応
現役期
- 「資産形成の有効性を認識」
- 「貯蓄に加えて投資」
- 「ライフプラン・マネープラン作成」
- 「業者選び」
リタイヤ期前後
- 「ライフプラン・マネープランの見直し」
- 「節約」
- 「投資の継続」
- 「計画的な資産の取崩し」
高齢期
- 「マネープランの再見直し」
- 「取引の簡素化」
- 「取引代行サポート探し」
金融業者側の対応
現役期
- 「プラン作成総合コンサル」
- 「投資の提案」
- 「信頼関係の構築」
リタイヤ期前後
- 「ライフプラン・マネープラン見直しの手伝い」
- 「商品サービスの充実」
- 「サービスのワンストップ化」
- 「他社商品との比較説明」
高齢期
- 「非金融サービスとの連携」
- 「認知能力低下に備えた環境作り」
その他一般
- 金融リテラシー向上のための授業やセミナー開催強化
- アドバイザーの充実
行政機関側の対応
- 「つみたてNISA」「iDeCo」「一般NISA」制度の広報と改善
- 住宅資産の流通を活性化させるための環境整備
- 資産継承制度の歪み(有価証券 vs 不動産)解消
- 業者の事業承継手続きの円滑化の後押し
- 金融リテラシー向上のための授業やセミナー開催強化
- アドバイザーの充実
- 成年後見人制度の見直し
(就労している)企業側の対応
- 退職金額の早期の通知
- 企業年金の運用状況や給付額の通知
- 投資教育
- 金融リテラシー向上のための授業やセミナー開催強化
<おわりに>セクションまとめ
- 日本人は長生きするようになり、高齢でも元気で働いている。これ自体は良いこと。
- しかし寿命が伸びるということはお金がもっとかかるということ。
- 認知症の割合も増えている。自分だけでなく家族のことも考え今から備えが必要。
- 個々人で取るべき対応は様々だが、いずれにしても早めに計画するに越したことはない。
- すべての関係者が「自分ごと」として考えよ。
ここまでが金融庁のレポートの内容になります。
元レポートは56ページほどある資料で沢山の図やグラフを使い専門家でなくても読みやすい内容になっています。また、沢山の引用なども用いていますのでより詳細で豊富な内容です。(当たり前だけど。)
上記で興味を持って頂けたら、ぜひ元レポートもお読み下さい。金融庁としても広く広報したいと考えているようですので、ぜひご家族などと一緒に検討してみて下さい。
番外編・・・志乃谷の4行まとめ
さて、上記レポートのまとめをご覧頂き、どのように感じましたでしょうか。
全体的な雰囲気としては、
という風に言っているように思います。
ここであらためて、まとめても長かったレポートをギュッと4行にしてみました。
- 今後は年金受給額は減る方向だし、色々あって貯蓄も期待できない。
- 年金だけだと老後は毎月赤字、長生きするとお金が約2000万円不足する。
- 認知症になる可能性があるからリタイア後も働き続けるのはリスクあり。
- だから国民は早期に資産計画するべし、国も何かするけど民間もサービスを充実させよ
超ざっくりですが、上記のような内容と理解しました。
志乃谷